
1.医療機器・備品展示会内容
前回に引き続き、AORN CONGRESS(米国手術部学会)に参加し、得られた情報・内容についてレポートする。 なお今回のレポートは学会開催時に、併設で展示されていた手術に関する医療機器・備品の展示会に的を絞る。 今回の展示会では、約550におよぶ企業が展示会に出展していた。その出展していた内訳は、(1)手術台・無影灯などの日本で既に製造・販売されている品目(以下、一般品目という)、(2)まだ日本に導入されていない運用(もしくは日本における必要性が未検討)に関する品目(以下、特殊品目という)、および(3)鋼製小物類であった。なお今回のレポートにおいて鋼製小物については割愛する
(1)一般品目について
展示されていた一般品目において、目を見張るような新しい仕様として無影灯があげられる。どのような仕様か簡単に説明すると、腹腔鏡手術時に無影灯では視野が明るすぎるため、本体内にLED(LightEmittingDiode:発光ダイオード)を組み込み、手元だけを照らす仕様となっていた。今まで無影灯においては照度や照射深度、空調の妨げをいかに抑えるかなどを考えられてきたが、術者の使い勝手に関してはあまり注目されていなかったように思われる。実際、病院で機器選定を検討する際に使い勝手という点は軽視されていた。この仕様は本展示会において一つの企業だけが発表していたが、今後のニーズは増加していくと思われ、同時に同仕様を他企業も検討・作成していくのではないかと考える。 次に、注目した品目として術中ナビゲーションシステムがある。この機器は手術中の患者体内にあるインプラントの状態が患者の体を侵襲することなくビジュアルとして確認可能であるため大変有用である。だが数千万円単位の高額機器であるため、販売開始から既に10年ほど経過しているが、まだ日本における導入の実績は少ない。ただ、実際に機器選定のコンサルテーション業務をする中で、医師サイドからは手術の正確性を高めると言う理由により、導入要求が高まってきていることは痛切に感じるところである。
(2)特殊品目について
これは今まで日本で発表されていない品目であり、かなり興味深いものがあった。 まず、目を引いたのは、術着管理マネジメントシステム(装置)である。欧米では術着を院内から持ち出し、私用で使用(パジャマなど)しているなど、盗難が多いとのこと。そこで、術着をこの装置で管理し、持ち出しと回収の記録をとっているのである。この展示会ではこの装置の出展メーカーが5〜6社あった。これから考えると欧米ではこの装置のコンセプトが奇抜でないことを指し、また多くはないにしても需要があると考える。話を伺うと術着の盗難による病医院の経営ダメージはかなり深刻であるらしい。
確かに日本では、薬品や診療材料など盗難の発生しそうな品目についてはSPDシステムを導入し一元管理を図っているが、術着にはまだ着目していない。一度リネン業者などに調査をしてみると面白い結果が出るかもしれない。
次に、目を引いた品目として、Smoke Evacuator(術中の電気メスを使用時に発生する煙を吸引する装置)がある。電気メスの煙を吸引することにどのような意味があるのかを問うと、まず一点には煙による術野の妨げを防ぐ意味があるとのこと。もう一点は電気メスにて発生する煙は有毒であり、術者への安全を確保するとのことであった。今まで一度も聞いたことのない話であり、またエビデンスも明白ではないと思われるが、この装置も展示会で5〜6社あったので、まったく信憑性のない話でもないと思われた。上記の術着マネジメントシステムと同様に今後の動向に注目しておく必要があると考える。
なお帰国後、ある企業に確認したところ、日本での発売は現時点では予定されていないとのこと。術者の安全性などについて国内で話題に上がってから、各社発売の検討を行うことと思われる。
もう一点、気になった品目として手術予定管理ソフトである。これは現在日本でもHISベンダーが他の部門システムと同様に一元管理する形で作成されているが、あくまでシステム全体のうちのひとつであり、あまり重視されていない。そこで手術予約や原価管理、清掃管理など細かな内容まで網羅しているシステムと接続を検討することにより、よりよいシステム構築が可能になると考える。
今回の展示会を通して思うことは、例え、想定の範囲外の機器であっても、頭から除外することなく、欧米の動向、それに追随する日本の動向をしっかり追う必要があるということである。






