
東京警察病院は、千代田区から新たに中野区に移転新築され、平成20年4月1日に開院の日を迎えました。千代田区から中野区へ移転をしたため、診療圏が全く変わることになり、法的に旧病院は廃院し、中野区では新規として開設手続きをすることになりました。 このような事例は全国的にも少なく、近くは癌研究会付属病院の事例があります。新病院の病床数431床(旧病院の病床数545床)で、診療科目は22診療科です。今年からDPC(協力病院)での運営が始まりましたが、病院機能評価については診療圏が変わるため、旧施設で取得していても新施設では取り直す必要となり、移転後に受審することとなっています。
本業務は平成17年1月に始まり、平成20年3月末の3年2ヶ月に亘って業務を担当させて頂きました。同期間で担当した業務は以下の5つの分野に亘って業務を行いました。
本業務を推進する上の課題として @「経営の効率化」 A「質の高い医療の提供」 B「予算とスケジュール管理の徹底」を本業務の命題とし、業務に着手いたしました。今回の業務で特に苦労したことは、購入品調達のルールが東京都の基準に準じて行われたため、手続きに多くの手間と時間が掛かったことでした。さらに、医療機器整備予算に対して、現場の要求予算がかなり超過していたため、その調整に膨大な時間を要しました。 また、本業務を受託した時点では既に基本構想から基本計画策定まで終了しており、元々のコンセプトや計画の経緯などを後追いでフォローすることからスタートせざるを得なかったために、計画内容の詳細、問題点、課題を的確に捉えた上で業務を開始できなかったことでした。
新東京警察病院では、IT分野の充実を図り医療の効率化、医療の質の向上を図るため、電子カルテを初め、フィルムレス、ペーパーレス化が実現されました。また、各部門では、麻酔記録システム、生体情報システム、生理検査部門(心電図、脳波、超音波、内視鏡部門、眼科部門、循環器動画システム、薬剤部門など、多くの部門システムを導入することで、診療の効率化を図ることができました。
医療機器の分野では、3テスラMRI、ボリュームCT装置(64列)、アンギオ装置(多目的と循環器専用)など、高度先進医療のために多くの機器が整備されました。また、脳神経外科では、脳底分野の手術件数では国内でも大学レベルで実施されており、これをサポートするために手術室に移動型のCTと最先端の手術台を組み合わせた手術用CTシステムが導入されました。現時点では、同システムは国内でも当院を含め2施設しかありません。
さらに、部門組織も増強され、救急体制、集中治療室、周産期医療、予防医療センターの充実などが図られました。
建築的にも患者のアメニティを配慮して、療養環境がかなり改善されました。伝統ある東京警察病院は様相も新たに生まれ変わり、新たな医療圏で地域中核の医療施設となりました。
新病院開設のための本業務が終了したいま、改めて振り返ると行き届かなかった点が多々あり、財団法人自警会さまや病院職員さまにはご不便・ご迷惑をお掛けしたこと反省しきりです。しかしながら、本業務開始当初に掲げた3つの命題を業務推進の基本コンセプトとしつつ、最後までお客さまの立場に立って会社を挙げて本業務に取り組ませて頂いたことは正直な気持ちです。
開院にあたっては如何に円滑にオープンできるかを求め、警察病院さまの組織を挙げたご協力を仰ぎつつ、何度も何度も開院リハーサルを行い、開院の4月1日を無事迎えることができました。職員の皆さまのご尽力により、開院初日は400人以上の患者さまに来院して頂きましたが、殆ど新患だったにも拘わらず大きな混乱もなく、1日目の診療が無事終了いたしました。ほっと胸をなでおろす瞬間でした。
業務の遂行にあたっては各分野で2名以上の社員を当て、常時総勢8名程度で対応させて頂きましたが、本業務を通じて数多くの新たな経験をさせて頂きました。特に若い社員にとっては本当に有益な勉強の機会を与えて頂きました。感謝の気持ちで一杯です。 末筆ながら、東京警察病院さまの益々のご発展と、東京警察病院職員の皆さまのご健勝を祈って止みません。